【大解剖】国家公務員の給与(前編)

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国家公務員って、どの程度の収入が見込めるの?

こんにちは、VOLVEの吉井です。「国家公務員の給与体系は複雑」「結局のところ、総額としてどの程度の年収になるのか分からない」等の声をよく耳にしますが、今回はそんな国家公務員の給与体系を民間目線で分かり易くまとめてみました(注)。
(注)以下、行政職俸給表(一)の対象となる事務職・技術職で東京都特別区勤務の方を対象とします。

国家公務員は40歳前後で年収1,000万円に到達する

冒頭のメッセージに驚かれた方々もいるかもしれませんが、東京都特別区に勤務する国家公務員は一定の条件を置くと、総合職・一般職とも、40歳前後で年収約1,000万円に到達します。
より詳しく国家公務員の想定年収を調べたい場合、弊社が制作したシミュレーターからお調べいただけます。(記事執筆時点での弊社シミュレーターは令和4年4月1日時点の情報をもとに作成しております)

国家公務員の報酬は①基本給②生活関連・職務関連の手当③ボーナスの3つに大別される

国家公務員の報酬は大きく分けて、①基本給、②生活関連・職務関連の手当、③ボーナスの3つから成り立っています。これだけ聞くと、民間企業とさほど変わらないように思えるかもしれません。しかし、民間企業の一般的な報酬制度と大きく異なるのは、手当と呼ばれる②と③が合計で22種類存在しつつ、①-②-③が相互に連動してそれぞれの支給額が決定される点です。
例えば、ボーナスの一種である期末手当の支給総額は、その人の基本給のみでなく、生活関連手当の一種である地域手当や扶養手当と呼ばれる手当の支給総額によっても変化します。より具体的には、働く場所や扶養に入っている子どもの人数等でボーナスの金額が変化します。これらは、個々人の職務や勤務場所等の実情に即したきめ細かな体系を実現する要素である一方、民間目線では、分かりづらくなっている原因ともなっています。

基本給のテーブルは公開で透明性が高い

①の基本給は至ってシンプルに決定されます。民間企業では基本給のテーブルが全て従業員に公開されているということはあまりありませんが、国家公務員は全ての役職の給与テーブルが公開されており、一般的な民間企業に比べ透明性が高いと言えるのではないでしょうか。
より詳しく説明すると、国家公務員として中央省庁に入省した後は、人事院の定める給与テーブル(行政職俸給表(一))により決定される俸給月額が月の基本給になります。例えば、四年制大学卒業後の新卒総合職入省者であれば、係員として一律2級1号俸を支給されることとなるので、月の基本給は189,700円(行政職俸給表(一)の備考(二)参照)となります。この基本給は人事評価結果に基づき、毎年1月1日に見直され、昇給の場合は同一級内で最大8号俸上がり、昇格の場合は1つ上の級の現状より下位の号俸となります。
例えば、2級16号俸の係員(基本給224,500円)が8号俸分の昇給をした場合、次年度からの基本給は236,900円になります(現状+12,400円)。さらに、その同じ係員が昇格した場合は3級8号俸244,900円(現状+20,400円)となります。中央省庁に入省した国家公務員の方々はこうした給与テーブルに基づいて基本給が決定されることとなり、透明性が担保されています。

“月給=基本給+生活関連・職務関連の手当”
月給に占める基本給の割合は50%を割ることも

最近ではエネルギー価格の高騰や物価高の影響を受け、民間各社がベース給与の引き上げを検討・実施しています。そんな中、国家公務員総合職の新卒基本給が189,700円では低すぎるのでは?という印象を持った方が多いかもしれません。そう感じるのも無理はありません。国家公務員の月給に占める基本給の割合は概ね50~60%程度しかなく、実際の月給という観点では、各種手当(次回解説する残業手当も含む)についての理解抜きにイメージをつかむことはできないからです。
このような給与制度になっているのは、国家公務員と一言でいっても勤務地や仕事内容は千差万別であり、様々な勤務地や職務内容の職員に単一の報酬制度で対応しようとすると、基本給をある程度抑制して手当で調整する、という方法に拠らざるを得なくなるからです。
以下、代表的な手当をいくつか紹介します。

生活関連手当①地域手当(地域給的手当):
ボーナスに相当する手当と通勤手当を除いて、支給対象人数が最も多いのが、地域手当です。これは、首都圏・都市部などの給与・物価の高い地域に勤務する方々に対して、それぞれの地域の民間給与を基礎に、物価の動向も勘案した給与額とすることを目的に支給される手当です。勤務先地域に応じて下表の率で月の基本給と扶養手当の合計額(注)に上乗せして支給される仕組みになっています。
例えば、東京特別区に勤務する2級16号俸の係員で扶養家族はいない場合、基本給の224,500円に加えて、44,900円(224,500円×20%)の地域手当が毎月支給されます。この地域手当の支給額は、基本給と扶養手当の合計額に一定割合をかけて決定されるので、基本給や扶養手当額が上がるほど、地域手当支給額も上がります。
(注)正確には俸給の特別調整額、専門スタッフ職調整手当も計算基礎対象ですが、支給対象人数が限られているため本稿では割愛します。

生活関連手当②扶養手当(生活補助給的手当):
次に、こちらは民間企業にも幅広く導入されている家族手当のようなものですが、国家公務員は扶養親族を持つ職員に対して下表の通り支給されます。

「人事院:令和2年職種別民間給与実態調査」によると、家族手当制度を設けている企業は全体の79.1%に上るという調査結果もあり、家族手当の存在は珍しいものではありません。しかし、国家公務員の家族手当は先ほどの地域手当や後に出てくるボーナスにも連動することから、年収に対する影響は手当額面以上のものとなる点は特徴的と言えます。

また、生活関連手当は地域手当、家族手当(扶養手当)以外にも通勤手当、住居手当、広域異動手当、寒冷地手当、単身赴任手当等があり、それぞれ以下の割合の国家公務員が支給対象となっております。

前編では国家公務員の報酬体系の全体像と基本給、代表的な生活関連手当を解説してみました。皆さんの企業・組織とはかなり異なる制度設計だったかもしれません。次回は職務関連手当とボーナスを解説する予定ですが、これらも国家公務員の報酬制度ならではの点が多くあります。
引き続き民間目線に立った解説を心掛けますので、ご期待ください!

【著:吉井弘和】


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