1 はじめに
私は理系の大学院で修士課程を修了後、新卒で国家公務員として就職しました。新卒時の転職活動では、仕事を通じて社会にポジティブなインパクトを与えたいと考え、中央省庁のほかマスメディアも候補でした。最終的に、法律・税制・予算など政策を通じて社会課題を解決することに魅力を感じ、中央省庁に入省しました。
2 国家公務員での経験
入省後は、国内の特定産業の担当、国際交渉の担当、国会担当など様々な分野・職務を担当させていただきました。若手にも様々任せてもらる職場で、係長や若手補佐のうちから、審議会での検討のストーリー作りや関係者との調整、国際交渉でのスタンス検討や実際の各国政府との調整、法律・予算・税の制度設計や査定官庁との調整など、政策作りのフロントで経験を積ませていただきました。
3 転職に至った経緯
元々国家公務員として勤め上げようという考えはなく、別の道に行くこともありうると思っていました。かといって明確にこれをやりたいというビジョンもなく、入省から10年以上が経ち中堅職員になっていました。各ポストでの仕事にそれなりにやり甲斐を感じていましたが、本当に政策によって企業・個人の行動を変えられているのかという疑問もありました。また、職場の働き方改革もかなり進んでいましたが国会対応や予算・税制の要求など他律的要因も多く、育児との両立など持続的に働いていけるかという不安も感じていました。こうした中、役所の外でどういったフィールドがあるのか、選択肢を探ってみたいという思いで転職活動を始めました。
4 転職活動時の考え
3で申し上げた問題意識から、
・社会へのインパクトが大きいこと
・他律的要因が少なく家庭・育児と両立ができること
を重視しました。
その上で、
・これまでの役人経験(業界知識やスキル)が多少なりとも活きること
・その先に、業務やキャリアの広がりがあること
という観点で企業の候補を挙げていきました。その際には、VOLVEさんのアドバイスもあり、その企業や仕事内容がワクワクするかという、直観も大事にしました。
5 転職活動を通じて
転職活動を始めた当初、自分が何ができるのか/やりたいのかという解像度は非常に低く、何から手を付けたら良いか分からない状態でした。そのような時期にVOLVEさんに初回相談をしたところ、こちらの問題意識を踏まえた上で、転職先としてどういった業界・ポストがあるのか、メリット・デメリットや具体例を挙げながら具体的に説明いただき、一気に解像度が上がりました。
また、通常の転職サイトやエージェント経由で、公務員出身者の採用ニーズがある企業を探すのは非常に骨が折れる作業です。VOLVEさんの支援で特にありがたかったのは、公務員出身者の採用の潜在ニーズを発掘いただき、既にニーズが顕在化している状態で候補企業をリストアップいただいた点です。このおかげで採用プロセスが非常にスムーズに進みました。
転職活動全般を通じて、自分の経験・スキルをどのように第三者に伝えるか考える良いきっかけにもなりました。単に「〇〇法改正を担当した」ではなく、プロジェクトが立ち上がった背景や目的、具体的にどういう作業を行い、その中でどのようなスキルを使ったのか、自分はチーム内でどういう役割だったのか、成果はどのようなインパクトを持つのか、具体的に伝えて初めて、相手は「自社でこういう仕事を任せられそう」とイメージが湧くと思います。VOLVEさんには、職務経歴書作成や面接対策を行う中で、この「自分の経験・スキルの棚卸し」に必要な視点やアドバイスをいただいたことが非常にありがたかったです。
6 おわりに
新しい職場で働き始めてまだ日が浅いですが、タスク管理や情報収集、分析、ストーリー作り、交渉、コミュニケーションなど、役人時代に鍛えられた基礎スキルは大いに役立つと感じています。政策とビジネスは手段は違えど、誰かの課題を解決して社会を変えることには変わりなく、両方を経験するからこそできることもあると思います。新しい環境を楽しみながら面白い世の中を作れるように精進していきます。