2024年

充実の公務員生活からの大転換:知見と経験を活かし、民間で新たな挑戦をする転職への道

36歳 男性 国立大学文系学部 卒

転職前

中央省庁 総合職相当(事務系) 課長補佐級 常勤

転職後

医療系スタートアップ IT・通信 政府渉外

1 はじめに

霞が関では、総合職(事務系)として、入省以来12年超、各担当分野における法改正などに取り組んできました。新卒の時は、金融、他の公共関係の組織等とともに当時の国家I種を受け、官庁訪問の末、霞が関で働くことを選択しました。 転職活動については、家族の看護等に対応したフレキシブルな働き方の必要性や、私自身も民間の経験をしてみたいと思ったことなどから着手しました。単に仕事を探すことではありますが、この転職活動を通じて、今までの省庁での仕事の振りかえりや自分のキャリアの在り方などを考えるよい機会となりました。

2 国家公務員での経験

従事していた職務や労働環境についてなど 職務について、総じて言えば、法律の改正を含むダイナミックな政策展開を財政当局や民間の関係者、国会議員などの理解を得ながら、世に打ち出していくことでした。そのために、政策の中身だけでなく、その実現の方法として、関係者との調整の方法、その他の一般に向けたコミュニケーションの在り方等をその都度考えてきました。関わる人が多いからこそ 、手間と感じるような調整も多くありましたが、できる限り関係者の納得を得ながら世の中を変えていくという基本動作の結果だという風に思います。 そうした活動に必然的に求められるという面もありますが、こうした政策の展開に必要な手間や工数は多く、かつ、近年よりダイナミックで各方面に気を配った政策が求められる中で、労働時間の面でも、個々人の負担という面でも過大な負担があるようには思います。特に独身時代は無限に働けましたが、家族が長期的に体調を崩すようなこともあり、自分 に与えられた 国家公務員としての責務との両立が難しいと感じるようになりました。 他方、霞が 関も働き方改革を進めており、私が入省した当時よりは、細かい儀礼的な事務の廃止や最近ではチャットツールによる国会答弁作成など、所属した省庁をはじめ各省庁において省力化などが大きく進んだ部分も多くあると思います。

3 転職に至った経緯

2のとおり、妻子の体調悪化が本格的に転職を考え始めたきっかけですが、同期や周りでの転職の経験を聞いたことも重要な判断の背景にあります。 転職活動を進めながら、決断のために省庁内外でさらにいろいろな人の話を伺い、霞が関での働き方と家族の看護等をサステイナブルに両立させることは難しい(可能性が高い)と判断し、転職することとしました。 また、4でも補足するとおり、私は、出身省庁の仕事が嫌いな訳ではないので、そうした仕事との関連から、転職先を選択しました。

4 転職活動時の考え

エントリーする業界は、出身省庁の行政分野の関連で考えました。民間において、全く知らない分野において、一から知識を蓄えてというのも難しいと思ったというのと、出身省庁の仕事が好きなので、同じ分野に関わることを選択しました。とはいえ、がっつりと分野の所管の担当などになったことは無い分野なので、そうした新規性も転職の中では一定の軸として考えていました。また、公共政策的な視点も省庁に就職して以来継続して大事にしたい軸でもありましたが、政府渉外(GR=ガバメントリレーション)の仕事の募集がちょうどこうした分野であり、こうした引き続き霞ヶ関などとも関わるような仕事を選びました。

5 転職活動を通じて

初めての転職活動及び転職においては、具体的な細かい部分で振る舞いや書類など分からないことも多いです。CV等のチェックから、転職活動のスケジュール面での調整などに加え、分からないことについて、VOLVEには様々なアドバイスを頂きました。役所の仕事と調整しながらの転職活動だったため、その辺りも事情を踏まえて対応頂きました。

6 おわりに

省庁出身者として、省庁の仕事の重要性はこれまでもこれからも変わらないと思っています。一方で、現実に省庁のステークホルダーとの調整等の負担が増大しているのは、既存のルールの改廃を含めて、世の中の多様性が増しているということなのだと思っています。そうした中で、必ずしも拾いきれていないと思われる民間の側からの視点で、公共政策を考えることには意義があると考えており、こうした民からの視点を世の中に責任を持って問うていく仕事をしたいと考えています。また、今後ですが、上記の家族の事情なども見据えながら、民間で学んだことのフィードバックを含めて省庁に戻ったり、民間で仕事をしたり行ったりきたりできるキャリアパスが分かりやすくできていくことを希望していますが、いずれにせよ、公共政策という視点を欠かさないで、キャリアを実現していきたいと考えています。