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(本記事は後編です。前編はこちらから)
前編では、「公務員にはスキルがない」という誤解に対し、国家公務員の代表的な強みである調整力・企画力に加え、高い視座と広い視野、ラーニングアジリティ(学習機敏性)というポータブルスキルについて解説しました。
後編となる本記事では、さらに実践的かつ、民間企業の経営層や重要ポジションで求められる3つの能力に焦点を当てます。
これらは、国家公務員が民間市場で「高付加価値人材」として評価される決定的な要素です。
一般的に、年齢や役職が上がるにつれて「現場実務」から離れ、管理業務(ピープルマネジメントや数値管理)の割合が多くを占めるようになります。幹部は「細かいことは部下に任せる」のが通例です。
一方、国家公務員の世界は少し異なります。国家公務員は課長級以上の幹部クラスになっても、大臣や与党議員、関係団体の幹部などを相手に、自分自身で説明・調整・交渉を行います。有為な調整・交渉の相手とみなされるためには、権限と共に深い・細かい政策知識を持ち、その場で思考しながら対話をする必要があります。
機微な調整事項になればなるほど、部下に丸投げできず、自ら手を動かすことが求められ続けます。これはいつまでもプレイングマネージャーとして成長し続けられるという稀有な環境でもあります。
「管理職になると現場から遠ざかる」という一般的な悩みをよそに、国家公務員は構造的にプレイングマネージャーとしての実務能力を維持・向上させやすいキャリアパスを持っています。これは、スタートアップの幹部や、変革期の企業リーダーとして重宝される資質です。
民間企業、特に外資系企業などの幹部育成プログラムでは、将来の幹部候補にあえて困難な課題(タフ・アサインメント)を与え、その適性を見極めることがあります。海外の困難な市場の立て直しや、失敗事業の撤退戦、新規事業の立ち上げなどがそれに当たります。
国家公務員にとって、こうした「修羅場」は日常茶飯事です。
こうした環境で培われた胆力(精神的なタフネス)やレジリエンス(回復力)は、座学や平和なビジネス環境では決して身につきません。これこそが、組織のリーダーとして最も不可欠な資質の一つです。
「公務員は安定しているからぬるま湯だ」と思われがちですが、精神的な負荷のかかる局面を乗り越えてきた経験値は、民間企業の激務やハードな意思決定の場面でも十分に通用します。
近年、スタートアップや大企業においてGovernment Relations(GR)やルールメイキングの重要性が急速に高まっています。ここで求められるのは、単なる「役所への顔つなぎ」や「人脈」ではありません。ビジネス側の要望を、行政側が受け入れられる大義と制度の言葉に翻訳する力です。
民間企業が新しいビジネスを始める際、既存の規制が壁になることがあります。しかし、行政は決して意地悪で規制をしているわけではありません。彼らもまた、公益や公平性といった「大義」を守るために仕事をしています。
国家公務員は、この「行政の論理(大義と制度)」と「ビジネスの論理(利益と革新)」の間に橋を架けることができる稀有な通訳者です。
ビジネスの現場では「0から1を生み出す企画力」が注目されがちですが、社会実装のフェーズでは、関係者を巻き込み、制度との整合性を図りながら物事を前に進める翻訳と合意形成のプロフェッショナルが不可欠です。
霞が関で培ったこの翻訳能力は、民間企業が求める市場価値の高いスキルなのです。
※企業の政府渉外(GR)に求められるスキルの詳細は、フリー株式会社・小泉美果さんとの対談記事でも具体的に解説しています。
「役所の常識は世間の非常識」と自嘲する必要はありません。むしろ、役職ではなく中身(論理とファクト)で議論する文化や、若手であっても制度改正などの大きな裁量を持てる環境で育った国家公務員は、本質的なビジネス戦闘力が高い人材です。
本記事(前編・後編)で触れた国家公務員の強みをまとめると、次のとおりです。
これらのスキルは、コンサルティングファーム、スタートアップ、大企業の経営企画、そしてGR(政府渉外)など、多岐にわたるフィールドで輝きます。「自分には何もない」と思い込む前に、ぜひご自身のキャリアを「ポータブルスキル」というレンズを通して見つめ直してみてください。そこには、市場が求める確かな価値が眠っているはずです。
VOLVEでは、国家公務員の皆様が持つこの素晴らしいポテンシャルを正しく評価し、その能力が最大限に活きるネクストキャリアへの転身を支援しています。「自分のスキルがどう活かせるのか知りたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
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